はじめに
『あくたの死に際』は、タイトルのとおり作家を目指す主人公の人生を描いた作品です。
作家という職業を通して、葛藤や苦しみ、そして作品を生み出すときの高揚感を思い出させてくれます。
登場キャラクターたちが心の柔らかい部分をさらけ出し、それぞれの選択にぶつかり合う姿が印象的な作品です。
Where to Read|どこで読める?
| マンガワン(公式) | https://manga-one.com/manga/2272/chapter/207703 |
| ピッコマ | https://piccoma.com/web/product/150513?etype=episode |
| Renta! | https://www.cmoa.jp/title/277907/ |
作品紹介(基本情報)
あらすじ
『あくたの死に際』は、かつて文芸部で創作に熱を注いでいたものの、社会人生活の中で「書くこと」から離れていた主人公・黒田マコトが、心の病を経験し、再び物語に向き合おうとする姿を描いた作品です。
学生時代の後輩であり、現在は売れっ子作家となった黄泉野季郎との再会をきっかけに、黒田の中では再び創作への炎が灯り始めます。
夢を追う過程で見えてくるのは、創作に伴う苦しみや挫折、葛藤、そしてそれでも「書きたい」と思ってしまう衝動のような気持ち。
日常と夢のあいだで揺れ動く黒田の姿を通じて、この作品は「自分らしく生きるとは何か」を静かに問いかけます。
創作を経験したことがある人なら、黒田の心の動きに深く共感できる場面が多いはずです。
レビュー
■ 執筆をやめられない執着や、呪いに似た想いがすごい
小説を書くのをやめてしまっていた主人公・黒田は、売れっ子小説家となった後輩の黄泉野と再会します。
そこから再び執筆に向き合っていくのですが、黒田の書くことへの没入感が、すさまじい波のように読者にも押し寄せてきます。
書けば書くほど奈落に落ちていくような、闇に埋もれていくような感覚が描かれている一方で、作品が出来上がったときの高揚感がその闇をより際立たせていて、とても印象に残りました。
「俺はこの夢となら、心中したっていい気がしてるんだ。」
(第10話18ページ/黒田)
執筆を続けると決めた黒田のこのセリフも最高でした。
■ 心をさらしてぶつかり合っていく熱い作品
主人公や登場人物の心理描写がとにかく素晴らしいです。
ほかの作品に比べても、心の柔らかい部分をさらしてぶつかり合う描写が多いように感じました。
普段なら他人とここまで踏み込んだやり取りはしないと思うのですが、
この作品では、登場人物たちがいつも胸の奥で思っていることをはっきりと言葉にしてくれるような感覚があり、刺さる場面がとても多かったです。
作家という、一見すると静かな職業でありながら、
強い情熱を持って人とかかわりながら作品が生まれていく。
その姿には、スポーツ漫画にも劣らない熱さがあると感じました。
■ 登場人物の関係性がいい
主人公・黒田の性格がそうさせるのかもしれませんが、黒田と登場人物たちの関係性がとても良いです。
それぞれが何かしらの信念やバックグラウンドを持ち、そのはざまで黒田と関わっていくような感覚があります。
その中でも、黄泉野の黒田への「愛」は見ていて気持ちがよかったです。
黒田が執筆を再開するきっかけを与えるほど、黒田の生み出すものを深く愛しているのが伝わってきました。
「殺したい…」
(第1話33ページ/黒田)
このセリフを聞いたときの黄泉野の嬉しそうな顔には、これまで抱えてきた想いや、ある種の狂気のようなものがにじんでいて印象的でした。
総評
- 創作に向き合うときの弱さや執着、高揚が静かに伝わってくる
- 苦しみと快感が入り混じる“書くこと”の本質が描かれている
- 心の柔らかい部分を丁寧に扱った心理描写が魅力
- 作ることに関わったことがある人ほど刺さるポイントが多い
- 読み終えると、自然と創作に気持ちが向くような余韻がある
セリフに句読点が使われている点にも、小説を扱う作品らしいこだわりを感じました。
細かいところにも気が配られている作品です。ぜひ読んでみてください。
Review of “Akuta no Shinigawa”
“Akuta no Shinigawa” follows a protagonist who once walked away from writing, only to be pulled back into the world of creation through an unexpected reunion. The story captures the turbulence of returning to a dream—its weight, its obsession, and the strange sense of elevation that comes with creating something meaningful.
One of the strongest aspects of this work is how deeply it explores the emotions behind writing. The protagonist’s descent into the darker side of creativity, and the exhilarating high that comes after finishing a piece, are portrayed with striking clarity. The emotional waves feel almost physical.
The relationships in the story, especially between Kuroda and Yomino, add another layer of intensity. Their connection is shaped by admiration, frustration, and a kind of fierce affection that makes their exchanges unforgettable. Even a single line of dialogue can shift the emotional temperature of a scene.
The manga is also notable for its delicate handling of psychological expression. Characters speak openly, exposing the vulnerable parts of themselves that people often hide in real life. This honesty gives the story an intensity similar to that of a sports manga—not in motion, but in passion.
For anyone who has ever created something, or struggled to face a dream they once set aside, this manga resonates deeply. It’s a work that may rekindle a creative impulse within you, and leave you with a quiet but lingering sense of momentum.

